第7話~アカデミック企画って?
ゆうちゃん(以下ゆ)「アカデミック企画にはやっぱり、医学部って感じの企画が並んでるよね」
むっくん(以下む)「特に体験型の企画ってのは医学部じゃないと難しいからね」
ゆ「私は骨密度測定ってのをやってみたいな。将来、骨粗しょう症にならないかが心配だし」
む「そ、そうだね。今の内に測っておくと良いかもね(僕達ってそもそも骨自体がないような……)」
ゆ「測定したら匿名でのデータ提供に協力することもできるらしいけど、そのデータはどういう風に使われるんだろう」
む「うーんとね、例えば喫煙習慣があると骨密度が低くなりやすいってのは既に分かってるんだって。今回は、まだ骨密度との関連がはっきりしていない、普段の運動の種類とか睡眠時間とかがどう影響しているかを調べたいんだって」
ゆ「ふーん、じゃあ例えば、バスケ部とサッカー部ではどっちが骨密度が高いのか、分かったりするんだ」
む「上手くいけばね。ただそれをはっきりさせるためには、かなりの人数を調べないといけないから、出来るだけ多くの人に協力してもらいたいんだ」
ゆ「もちろんむっくんは協力するんだよね?」
む「う、うん。あ、当たり前だよ(神経細胞のぼくに骨密度があればね……)」
ゆ「皆さん、ぜひ骨密度測定にご協力を! それと、この手術体験ってのも興味をそそられるんだけど、どういうことができるの?」
む「手術室で実際に使われている電気メスや超音波凝固切開装置を使ってみたり、腹腔鏡を使ったトレーニングの体験ができたりするらしいよ」
ゆ「電気メスは何となく分かるし、腹腔鏡はおなかに小さい穴を開けて手術するやつでしょ。超音波凝固切開装置ってのは何?」
む「メスのような器械の先端に、超音波を発生させるんだって。それにより摩擦熱で人の組織を切開しながら止血もできるみたい」
ゆ「それだけ聞くと電気メスとあまり変わらない気がするけど? あれも熱で切開と止血が同時に出来るよね?」
む「超音波の熱は電気メスの熱よりも低温だから、傷の治りが早いみたい。それに電気メスは直接電気が流れるから、神経線維を刺激することが問題になるみたい」
ゆ「ふーん、電気メスは神経線維に良くないんだ……。じゃあ、私達は体験できないね」
む「あっ……」
ゆ「……」
む「で、でも、ほら、だからこそ超音波切開装置の良さが分かるんだよ! 」
ゆ「そうだね!電気メスが使えない分、そっちをたくさん体験させてもらおう! あれ? でもさ、メスで何を切るんだろう? 体験だから人を切る訳にはいかないし。もしかして、むっくん、実験台になってくれるの?」
む「いや、神経は一度損傷すると治りにくいから止めて! たしか豚肉だったかな。お肉を使うって聞いてるよ。実際に手術の練習でも豚肉を使うことがあるらしいし」
ゆ「じゃあ、その手術練習用の豚肉を使うのかな?」
む「いや、手術練習用のものは特別らしくて非常に高価なので、ちょっと準備できなかった。それに、手術練習用の豚肉も、モノ自体は市販の食肉とそこまで変わらないらしいよ」
ゆ「そうなんだ。腹腔鏡体験の方では、どんな風に体験ができるの?」
む「本物の腹腔鏡を使って、輪ゴムを移動させたり、糸を結んだりするんだったかな。やることは遊びっぽいだけど、外科の先生たちも同じものを使って練習したり、タイムを競ったりしてるんだって」
ゆ「私は手先の器用さには自信がないけど、体験自体は面白そうだからやってみたい! 医学部の学園祭じゃないとまず体験できなさそうだし」
む「うん!この機会に色々な人に体験してもらって、医学に親しんでもらいたいね」