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第3話~シナプスと医学部生

ゆ「今年のテーマであるシナプスの説明のところで、“医学科、保健学科の枠を越え”ってあるのは、改めて考えてみると少し不思議な気もする」

む「熊本大学は総合大学っていうけれど、医学科や保健学科は実質的には単科大学みたいなものだよね」

ゆ「医学科だと他学部の人と知り合いになる機会って1年の時の教養講義のときぐらいだしね。それも週3日のみで、医学科専用のコマも少なくないし。保健学科も学年が上がると黒髪地区にはまず行かなくなるよね」

む「医学部の内部でも医学科と保健学科は同じ本荘地区にあるとはいえ、北地区の一番北にある医学科から南地区にある保健学科へは産業道路と中地区を越えて行かなきゃならない。部活やサークルなんかで一緒にならない限りほとんど接点がないよね」

ゆ「将来一緒に働くかもしれない人達なんだから、もう少し交流があっても良いのに」

む「さらに医学科に至っては、その狭い世界で6年間も過ごすところがね……」

ゆ「医者同士の特有の身内意識の原点は学生時代にある気もする」

む「ゆうちゃん……ここで喋るにはあまりに意見が鋭すぎないかい?(汗)うーん……まあ確かに、試験とか実習が大変だからそれらを共に乗り越えてく中で連帯感が生まれるのは理解できるし、一概に悪いものとも言えないのだけど……」

ゆ「でも、医者として関わっていくのは必ずしも医学的知識が十分とは限らない患者さんよね。医学科という特殊な環境で6年間も純粋培養されてしまったら、患者さんとの間に色々と食い違いが生じたとしても不思議じゃないんじゃない?」

む「残念ながらそういう食い違いの話はたまに聞くね。『医者は良くも悪くもサービス業』と仰る先生は少なくないけど、お客さんのことをよく知らずにサービス業は難しいはずなのにね。だから、最近は医学科でも早期臨床体験実習という形で、学生が低学年のうちから少しでも”社会”を知ることができる機会を増やそうとしているみたいだよ」

ゆ「ああいう機会はもう少し増えても良いと思うの。今後も模索は続けるべきよね。更に言えばさ、医学部という場所がどういうところなのかを地域の方々に知っていただく機会があまりないのも、問題じゃない?」

む「確かに。だからこそ、そういうギャップを埋めようという試みでもあるのかもよ、今年の本九祭は。テーマがシナプスになったのもそういう流れなのかな」

ゆ「きっとそうだよ!面白いのは、普通シナプス同士は連続していなくてシナプス間隙っていう隙間があるところよね。物理的には離れていても、何かのきっかけがあればちゃんとお互いが繋がり得るんだなって」

む「そのきっかけを作るために実行委員の皆は毎日準備にいそしんでるのかな」

ゆ「まあ、努力すれば報われるとは限らないけどね」

む「……もう少し別な言い方があるんじゃない?」

ゆ「報われなかったからといって努力することを止めないで欲しいから言ってるの」

む「……なるほど(今日のゆうちゃんは一段と切れ味鋭かったな。公式ページでのお喋りは心臓に悪いよ……)」

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